映画ちいかわ 人魚の島のひみつ
すごくよかったです。
私の心にかなり刺さりました。
刺さりすぎて映画館で2回見ました。
~もしかしたら後数回劇場に行くかもしれません~
しかも、
一人で。
↑映画ちいかわPOP UP STORE in TOHOシネマズが高知のTOHOシネマズにもあります。私が行った時にはあんまり商品が残ってませんでした。売り切れ続出です。セイレーングッズや島二郎グッズは豊富にありました。見てるとどれも欲しくなります。
あらすじとかネタバレはなんぼでもネットやSNSに書かれています。
私がどうこう言う余地はありません。
個人的な映画の感想を適当に書くと…
・ちいかわと仲間たちが普段通り
アニメが映画化されるとキャラの性格が変わることがあります。
最たるものは〇ラえ〇ソで映画になるとジ〇イアソの性格がよくなります。いい人になります。
こういうことがちいかわではありません。
そのままの性格でそれぞれの個性を発揮してます。
すごくいいですね。
・博士いらんこと書かないでください!
現実世界でも、図鑑の下の方にThis is博士みたいな風貌のキャラが「豆知識じゃよ」ってノリでトリビアを書いてたりします。
ちいかわの映画でもそういうのがあるのですが…
その博士のうわさレベルの話さえなければ悲劇の連鎖はなかったかもしれません…
・やっぱ、ちいかわの成長はうれしい
ちいかわの世界は現実社会を反映してみたり、ファンタジー入ってみたり、ダーク要素がはいってみたりそれぞれが絶妙なバランスで成り立っています。
そんな要素を楽しむのがちいかわの世界ですが、また別の見方としてちいかわ本人の成長を楽しみにするというのもあります。
今回の島での冒険を通して、ちいかわさんには精神的な成長があったと思います。
そんなこんなの私の日常ですが、
「腫瘍のことを最近あんまり書いてないなぁ」
と思ったので久しぶりに腫瘍のことを書いてみます。
~腫瘍のことっていうか、そもそもなんも書いてないじゃないか!と言われたら返す言葉もありません~
で、
具体的に腫瘍のどんなことを書くのかというと…
犬の脾臓にできる腫瘍について書いてみます。
それだけでなく、
犬の脾臓にできる非腫瘍性病変についても書いてみます。
とはいえ、
脾臓にできる腫瘍or非腫瘍性病変はこんなんだよ
みたいな小難しいことを書くわけではありません。
シンプルに、
「エコーで脾臓になんか見つかったんだけど…」
こんな時、
どう受け止めたらいいのか?
どう対応したらいいのか?
みたいなことをかんたんに書いていきます。
じゃあ、
なんでこんなことを書いてみようと思ったのか?というと…
普段の診療、特にエコー検査で犬の脾臓に何か見つかることがよくあるからです。
そして、
そんな時に
「この検査結果をどう考えればよいのか?」をオーナー様に説明しきれていないと私が考えているからです。
ということで、
犬の脾臓になにか見つかった時に私がどう考えているのか?
を思いつくままに書きたいことを書きたいように書いていきます。
なお、
脾臓全体が大きくなって腫れている時(=脾腫)のことは今回は触れていません。
あくまで、
犬の脾臓になにか腫瘤(≒しこりor丸いものorできもの)ができていた時に限定した話になります。
①脾臓になにかできてる!
普段、エコー検査で犬の脾臓を見ていると…
・脾臓に数ミリの丸い陰のようなものが見える
・脾臓の中になにかできている
・脾臓に比較的大きなしこりがある
ということは比較的よくあります。
↑脾臓のエコー画像。上の赤丸内に何かあります。脾臓からはみ出てないタイプです。黒く抜けています。この画像所見だけでこれが何かは断定できません。良性病変の結節性過形成だろうとは言えますが、間質腫瘍や血腫もなくはない所見です。こういう何かはよく見つかります。
こんなことは、
何かしらの症状があってエコー検査をしている時だけでなく
元気いっぱいで臨床症状のない犬に対する定期健診の時にもよくあります。
当然、このことをオーナー様に伝えるのですが
そうすると…
「しこりがあって大丈夫ですか?」
「ガンじゃないんですか?」
「この先どうなってしまうんですか?」
「命は?」
「ほっといて大丈夫ですか?」
このように、不安マックスの思いをオーナー様は訴えます。
「(安易に)大丈夫ですよ」
とも言えませんし、
「急いで治療しなくてはいけません」
とも言えません。
治療に急を要する時もあるし、あわてずに対処しても大丈夫な時もあります。
としか言えません。
②脾臓の何かは何が恐いの?
そもそも、
脾臓に何かできると何が恐ろしいのか?
何を心配しなきゃいけないのか?
恐いってどういうこと?
を考える必要があるし知っておく必要があります。
なぜならば、
恐れるべきことをオーナー様が知っていれば…
獣医師が(脾臓の何かに対して)なぜこのような対処をするのかが理解しやすくなると思うからです。
~なお、恐れるべきことの詳細をガチで書いていくと専門的で難しくなります~
~なので、分かりやすくするためにこまかいところは端折って書いていることはご了承ください~
③破裂への恐怖
脾臓は血液を大量に貯めている臓器なので、そこにできた腫瘤(≒何か)が破裂するととんでもないことになります。
~お餅を焼いていてプク~っとふくれて、パンと割れるイメージです~
破裂すると…
腫瘤の破裂→腹腔内大量出血→出血性ショック→命の危険
もしくは、
破裂しかけて→ジワジワ出血→貧血
のようになります。
仮に、
破裂して腹腔内出血したとして…
体内の止血システムがしっかりしていれば、止血され(お腹の中にひろがった)赤血球が吸収されることもありますが
それが繰り返されることにより凝固因子や血小板が消耗されてしまい命の危険にさらされます。
とにもかくにも、
ハレツ ジゴク
~ばけばけの週タイトルみたいに書けば…(えっ今さら、ばけばけ…)~
です。
破裂の厄介なところは
悪性腫瘍だろうと、良性腫瘍だろうと、腫瘍ではない良性病変だろうと
どんな腫瘤(≒何か)でも起きうるところです。
「悪性腫瘍=ガンの時だけでしょ!破裂するのは」
と誤解されているオーナー様がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
少し具体的に書くと
脾臓にできる良性病変
例えば、
結節性過形成・髄外造血・骨髄脂肪腫・血腫
だろうと、
脾臓にできる悪性腫瘍性病変
例えば、
血管肉腫・組織球肉腫・間質腫瘍・マージナルゾーンリンパ腫(≒潜在的悪性)
だろうと
破裂は起こりえます。
④転移への恐怖
脾臓にできた腫瘤(≒何か)がその局所だけでなく、
周りの臓器やリンパ節にまで浸潤(攻撃)し始める=転移する
と大変厄介なことになります。
なぜならば、
転移する=脾臓だけの問題ではなくなるからです。
すなわち、
転移する=脾臓だけなんとかすりゃいいってもんじゃなくなるからです。
具体例をあげて、もうちょい説明すると
もしも、
脾臓にできた腫瘤(≒何か)が非腫瘍性病変や良性腫瘍性病変であると…
(転移を考えなくてよいので)
脾臓を腫瘤ごと無事に摘出しました
→もう破裂の心配はないし、後は経過観察しましょう
になるのですが、
脾臓にできた腫瘤(≒何か)が悪性腫瘍性病変であると…
脾臓を腫瘤ごと無事に摘出しました
→とりあえずは破裂の危険は回避できました
→でも、それだけでめでたし♪めでたし♪にはなりません
→今後転移するor既に微小転移している可能性もあるので抗がん剤療法などの次の一手を検討しましょう
となります。
このように、
脾臓にできた腫瘤(≒何か)が血管肉腫、組織球性肉腫などの悪性腫瘍だった場合はより深い恐怖を味わされることになります。
以上、2点の恐怖を軸に脾臓にできた腫瘤(≒何か)に対する対応を書いていきたいと思います。
⑤脾臓からはみ出てるのか?
エコー検査で脾臓に腫瘤(≒何か)ができているのを発見!
こんな時、私はまず
その腫瘤(≒何か)が脾臓の内におさまっているのか、はみでているのか?
を必ずチェックするようにしています。
~チェックするというか、見ればすぐに分かることなのですが…~
なぜならば、
破裂への恐怖を考えた時にはみ出ているのか否かで対応が大きく変わってくるからです。
当たり前かもしれませんが、
脾臓からはみ出して膨れている腫瘤=脾臓の形を変えてしまうほど出っ張った腫瘤
と
脾臓の中におさまっている腫瘤=脾臓の形はそのままで臓器内にひっそりと佇む腫瘤
を比べた時に
前者の方が破裂の危険性が高いことは言うまでもありません。
~出っ張った腫瘤が何かの刺激でパチンと弾けたら破裂してしまいます~
なので、
脾臓からはみ出している時と脾臓内におさまっている時ではその後の対応に違いがでてきます。
⑥脾臓からはみ出している時
脾臓の形を変えてしまうほどの腫瘤をエコー検査で発見した時は
今後の破裂を回避するために
外科的な脾臓摘出が治療の第一選択になってきます。
「(腫瘍ではない)ただの良性病変かもしれないので、手術までしなくていいんじゃないですか?」
「もしそれが悪性腫瘍だったらすぐに摘出を考えたいだけど…」
というオーナー様の気持ちもわかりますが、
良性病変だとしても、破裂する可能性があるならばそいつは悪そのもの
なので、
外科的な脾臓摘出を第一選択として検討していくことになります。
↑脾臓のエコー画像。上の赤丸内に腫瘤があります。脾臓からはみ出てるタイプです。もちろんこの画像所見だけで確定診断できませんが、けっこう脾臓の形を変えているために脾臓の摘出を検討していきます。破裂する可能性もでてくるからです。
でもでもでも…
やっぱり、
「せめて、細胞診でそれが悪性腫瘍なのかある程度目星をつけてからじゃないと手術の決断できない」
というオーナー様もなかには存在しますが
そういうことはあんま意味がありません。
なぜならば、
細胞診での結果がどうであれ、破裂するかも?を考えると外科的に摘出するしかない
~その後の治療法が細胞診結果や組織診断の結果に左右されない~
そもそも、
脾臓腫瘤に細胞診をすること自体、出血のリスクがあるし
針で材料を採取できたとして血液成分ばかりでよくわからないことが多い
からです。
もちろん、
脾臓からはみ出すほどの腫瘤=すぐに手術で脾臓を摘出
という短絡的な話ではなくて
犬の症状や年齢、全身状態、その腫瘤がどれくらいデカいのか?
などなどを加味して経過観察ということもあります。
~はみ出し度合いにもよります~
そして、
他の治療選択肢を検討することもあります。
⑦脾臓からはみ出てない時
脾臓の中にひっそりとおさまっている腫瘤をエコー検査で発見した時は
~脾臓の中に何かを発見することは犬の健康診断でけっこうよくあることです~
基本、経過観察をするように私はしています。
いわゆる、
「様子をみましょう」
です。
脾臓の中に(全然はみ出てはないけど)なにかあります→とにかくすぐに細胞診をしましょう
ていうのは私はしません。
ましてや、
脾臓の中に(全然はみ出てはないけど)なにかあります→とにかくすぐに脾臓を手術で摘出して病理組織検査をしましょう
ていうのはしません。
「1ヶ月に1度程度、その腫瘤のサイズの増減をみていきましょう」
「脾臓からはみ出してないか定期的にエコー検査で確認しましょう」
「経過観察中に大きくなるorはみ出すことがあれば脾臓摘出を検討しましょう」
という様子見をします。
⑧おいおい、マジでそんなんで大丈夫なん?
「様子見って…もしそれが悪性腫瘍だったらどうするの?」
「さっき転移の恐怖って話したじゃん」
「腫瘍が小さくても悪性なら転移するかもしれないんだから、様子見してる場合じゃないんじゃないの?」
そんな声が聞こえてきそうですが…
「はい、たしかにその通りです」
としかいいようがありません。
ただ、
1つ知っておいてもらいたいのは
基本様子見
であって、
はみ出てなけりゃ、なんでもかんでも同じように様子見してるわけではありません。
じゃあ、
⑨様子見するしないはどうやって決めてるの?
一次診療レベルにおいて
エコー所見は様子見判定の大きな判断材料になります。
エコーでこんな画像だと…
こんな良性病変なことが多いよ
こんな種類の腫瘍のことが多いよ
というのは報告されているので
それをもとに、
悪いものが疑われるなら
様子見ではなく、一歩踏み込んで次の対応を考えましょうか
となります。
ただ、
エコー所見はあてにならないところもけっこうあって…
悪性腫瘍、良性腫瘍、良性病変の明確な鑑別は困難とされています。
~造影しようが、しまいがどちらにしてもエコー検査で明確な鑑別、ましてや確定診断は不可能です~
脾臓になんかある!を発見することに関しては絶対的な力を持つエコー検査ですが
それがなんなのか鑑別することについては絶対的な力を持っていません。
エコー検査では仮診断までと考えていただきたいです。
↑脾臓のエコー画像。上の赤丸内に何か白いものがあります。脾臓からはみ出てないタイプです。脾臓全体に大量に見えるので派手な感じに見えて恐いですが、骨髄脂肪腫という良性腫瘍が強く疑われます。もちろんすぐに手術する必要はありません。
➉犬種という有能な判断材料
私が様子見判定の材料にしていることが他にもあります。
その代表として犬種があげられます。
「犬種?それだけで何がわかるの?」
「犬種なんて重要な材料じゃないでしょ?」
と思うかもしれませんが、
脾臓腫瘤において犬種は有能な判断材料です。
ちいかわのうさぎくらい有能です。
↑脾臓のエコー画像。上の赤丸内に何かがあります。脾臓から少しはみ出したタイプです。脾臓の形が変わり始めています。レトリバー系統やMシュナウザーだと要注意かなと思います。他の犬種でもより深い精査が必要になります。脾臓摘出も視野に入ってきます。
⑪脾臓腫瘍の好発犬種
脾臓にできる腫瘍にはそれぞれ好発犬種が報告されています。
わかりやすく言えば、
この脾臓腫瘍はこの犬種に多いよ!
というのが報告されています。
例えば、
すべてを列挙してるわけではありませんが…
・脾臓の血管肉腫であれば、
ゴールデンorラブラドールレトリバー、Mダックス、Mシュナウザー、コーギーなど
・脾臓の組織球肉腫であれば、
フラットコーテッドレトリバー、バーニーズ、コーギー、Mシュナウザーなど
・腫瘍ではありませんが、脾臓の結節性過形成(良性病変)であれば、
チワワ、シーズーなど
という感じです。
⑫好発犬種をふまえると…
・15歳のシーズーで脾臓に何かあるのを発見
→脾臓内に納まっている病変だ
→エコー所見ではよくも悪くもどちらにもみえる
こういう場合は、
→様子を見ましょう
となります。
具体的には、
「絶対ではないですが、結節性過形成という良性病変の可能性が高いので様子を見ましょう」
「1~2ヵ月に一度くらいはエコーでその大きさをチェックしていきましょう」
となります。
シーズーに極悪な血管肉腫、組織球肉腫などが発生する確率が低いことを考えると
もし、その腫瘤が大きくなるようなら次のステップを考えるという対応で問題ないと私は思います。
~この年齢のシーズーで「悪いものかもしれないのですぐに脾臓を摘出しましょう」はやりすぎだと私は思います~
・9歳のMシュナウザーで脾臓に何かあるのを発見
→脾臓内に納まっている病変だ
→エコー所見ではよくも悪くもどちらにもみえる
こういう場合は、
→様子見する…もしくは、もう一歩踏み込んで精査しましょうか?
となります。
具体的には、
「良性病変の可能性が高いとは思いますが、Mシュナウザーという犬種を考えると悪いものの可能性もあります」
「1~2ヵ月に一度くらいはエコーでその大きさをチェックというのでもかまいませんが…」
「もし心配なようでしたら、細胞診などの精査も検討されてはいかがですか?」
「Nu.Q Vet Cancer Testという脾臓腫瘤の血液バイオマーカー検査というのもあります」
となります。
Mシュナウザーは他の小型犬種に比べて脾臓に悪い腫瘍ができやすいという報告を考えると
様子見だけではなく、もう一歩踏み込んだ何かしらの対応も提案する方がいいかなと私は思います。
⑬まとめると…
いつものように長々と書いてきましたが
結局どういうことなのかというと…
犬の脾臓に何か(結節病変)が見つかった時
(1)その何かが脾臓からはみ出しているものであるなら、外科的に脾臓を摘出することを第一に考えます。
その脾臓腫瘤の正体が何かをはっきりさせるというより、破裂のリスクを考えて脾臓を摘出します。
~その脾臓腫瘤の正体が何かは摘出後にはっきりさせます~
~そして、その正体にあわせて術後の治療をします~
はみ出し度がデカいほど緊急性が高くなります。
ただ、
全部が全部、摘出できる状況ではない
摘出したらいいけど必ずしもそうできるわけではない
というのが難しいところです。
腫瘍の拡がり、遠隔転移の有無、リンパ節転移の有無、なにより全身状態を見ながらベストを尽くす!というのが現実的な対応となります。
(2)その何かが脾臓のなかに納まっているものであるなら、あわてる必要はありません。
定期的なチェックをしながらの様子見で大丈夫です。
ただ、
エコー検査所見や犬種によっては、様子見するだけではなく
早急にというわけではありませんが、
もう一歩踏み込んだ検査を検討することもあります。
~いずれにせよ、あわてることはないと思います~
そして、
さらなる検査によって悪性が強く疑われるなら、はみ出す前に脾臓を摘出するということもあります。
以上、
脾臓になにか見つかった時にどうすればいいのか?を私なりに書いてみました。
脾臓で発見した何か(≒腫瘤)、脾臓腫瘍で当院に相談を希望されるオーナー様がおられましたら副院長を指名の上、来院していただきますようにお願いいたします。
なお、
電話での個別相談は一切お受けしておりません。