縁の下の地味な仕事道具~その②ハンドスリットランプ~

 久しぶりのおたより更新になります。今回もリニューアル前のホームページに掲載・連載していた記事のセルフカバー、アップデートで展開していきます。

その② ハンドスリットランプ

 前回と同じ眼科器具になります。ハンドスリットランプは、眼科検査の時にはかかせない仲間になります。

↑ハンドスリットランプの姿。眼の疾患の診断に非常に役立ちます。個人的には眼科領域でこんなに役に立つものはないと思っています。

 まだ、獣医師になって間もない時に、スリットランプをはじめて手にして使用法を習った時の感動を私は忘れません。SFCのスーパーマリオワールドで言えば、ヨースター島をクリアしてドーナツ平野のコース1でマントを手にした時のワクワク感に近かったと思います。

↑虫メガネの様な拡大鏡で眼の中を詳細に観察できます。

 この器具は、ものすごく幅の狭いスリット光を作りだします。暗室においてこのすごく幅の狭い光(スリット光)を動物の目に当てることで眼の状態を詳細に観察できます。

↑こんな感じの細い光がでます。この細い光で眼の中を輪切りにして観察します。 

 主に角膜の傷の深さ、眼房内や水晶体の状態を見るのに適しています。動物の眼科疾患の大部分はまぶたや結膜、水晶体といった前眼部疾患です。つまりスリットランプが得意とする領域がほとんどなのです。

 白内障においても、水晶体を輪切りにして観察できるためにその進行度、どこに白濁があるのか?水晶体は膨れてないか?位置がおかしくないか?といったことを詳細に観察できます。

↑ためしに眼のモデルにスリット光をいれてみましたが、あまりよくわからない写真しか撮れませんでした。実際に動物で使用すると、天体観測をしているような美しさに出会えます。

 手軽に持ち運びできるために、通常の診察台で動物に対して使いやすいランプです。

 肉眼で見えない領域を、細い光で照らし出してくれるハンドスリットランプは眼科検査に確かな光をもたらしてくれる道しるべです。

2021年08月03日